競売物件の活用を考察してみました・その5
こんにちは,四十雀です。
さて,今回の競売に関する話ですが,「三点セット」という点をテーマに,かいつまんでご説明していきたいと思います。
・・・と,書きましたが,そもそも「三点セットって,何?」となる方も多いかと思いますが,そこは追々説明しますのでご安心ください。
まず,前回のテーマにおいて,裁判所がオープンにしている競売物件の情報の中には,「物件目録」という,不動産登記事項証明書と同じ情報が書かれた目録がある旨,少しご説明いたしました。
sizyuukara-1979.hatenadiary.com
競売物件を買おうと考えている人(買受希望者)は,この物件目録を含む,裁判所がオープンにしている情報をもとに,買うかどうか検討する訳なのですが,では,裁判所が,競売において,「不動産競売物件情報サイト」(通称BIT)なり,裁判所に備え付けてオープンにしている競売の情報には,
ⅰ物件明細書
ⅱ現況調査報告書
ⅲ評価書
という三つの書類があり,これらを総称して「三点セット」と呼んでおります。
では,この三点セット,どのようなものなのか,かいつまんでご紹介したいと思いますが,その前に,あらかじめお断りすることがあります。
それは,実は,この三点セット,もう一つほかに,「期間入札の公告書」という書面もセットになっています。この公告書,厳密に言えば三点セット以外の物ですが,この公告書にも重要な事柄が色々と書かれています。
しかし,それをこのテーマで書くと,ただでさえ長いテーマがさらに長くなるので,また別稿にてご説明することにしたいと思います。
ⅰ物件明細書
民事執行法62条1項によると,物件明細書は裁判所書記官が作成するもので,次に掲げる事項を記載するとされています。
なお,裁判所書記官は,裁判所の事件に関する記録その他の書類の作成及び保管その他法律において定める事務をしたり,裁判官の命を受けて,裁判官の行う法令及び判例の長さその他必要な事項の調査を補助する職種とのことです(裁判所法60条)。
ア 不動産の表示
イ 不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの
ウ 売却により設定されたものとみなされる地上権の概要
もっとも,実際の物件明細書には,
a 不動産の表示
b 売却により成立する法定地上権の概要
c 買受人が負担することとなる他人の権利
d 物件の占有状況等に関する特記事項
e その他買受けの参考となる事項
という内容の事項が記載されています。
この辺りの記載事項については,また別稿にて,ご紹介しようと思います。
ⅱ現況調査報告書
民事執行規則29条1項によると,現況調査報告書は執行官が作成するもので,次に掲げる事項を記載するとされている・・・のですが,上記物件明細書とは違い,なんだか規則に事細かく規定がされていました苦笑
気になる方は,専用の法令が検索できるサイトを見ていただければと思いますが,本当にかいつまんで言えば,不動産の現況やら占有状況やらを中心に調べ,その結果が記載された報告書のようです。
www.japaneselawtranslation.go.jp
なお,執行官は,民事執行法の規定による民事執行における換価の手続等を行う職種とのことです(詳細は執行官法1条に記載されています。)。
ⅲ評価書
最後は評価書です。
こちらも,民事執行規則30条1項によると,評価書は評価人が作成するものですが,現況調査報告書同様,ちょっと事細かく規定されているので,専用の法令が検索できるサイトを見てください笑
そして,こちらも本当にかいつまんで言えば,不動産の評価額を算出した内容(及びその過程)が記載されているもののようです。
なお,評価人,これがよく分からなかったのですが,どうも,裁判所において,不動産鑑定士の資格を持つ人を評価人として,競売に出た物件について,評価を行う職種とのことです。
以上が三点セットのかいつまんだ概略となります。
ただ,これだけの記載では,正直,何が何だか分からないのが三点セットですので,また別稿にて,この三点セットについてのご説明をそれぞれして行こうかと考えております。